空いっぱいに祈る恋 14

朝なのに薄暗い部屋の中、微かな啜り泣きに混じり複数の熱く昂ぶった息遣いが混ざる。

両手、両足を拘束され、口の中に布まで押し込まれ塞がれた真紀はたまに部屋を明るくする雷鳴に映し出される大島達の顔を見たくなくて瞳を必死に閉じる。
制服を剥ぎ取られ、素肌を這い出した複数の手は至る所へと伸びてくる。
少しでも身じろぐ箇所には何度も行きかう、べたついたその手は真紀に嫌悪しか与えなかった。
いくら触れても反応しない真紀のものに痺れを切らしたのか彼らの誰かが秘孔へと指を伸ばし、真紀はついびくり、と肩を揺らした。
「・・・新名、ここ良いんだ・・・もしかして、あれから開拓されたのか?」
耳元へと囁いてくる低い大島の低い声に何も答えず少しでも避けようと顔をそむける真紀の頬に一瞬熱い痛みが落ちてくる。
「・・・・んぐぅ。」
呻いた真紀は頬を打たれたからなのか口の中に広がる血の味に眉を顰める。
ひりひりと熱を持つ頬も痛いけれど口を塞がれているからこそ吐き出せない血の味の方が気持ち悪くて飲み込むことも出来ずに真紀はもがきだす。
今更の様に抵抗を始める真紀に大島達は冷たい笑みを浮かべたまま容赦なく顔や腹を殴りだした。
ろくな抵抗も出来ないことは真紀にだって分かっていたけれどこのまま思い通りにされたくなくて伸びてくる手を必死に拒みだした。

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結局無駄な抵抗は何分も経たない内に終わりを告げた。
取り巻きの二人が体を押さえ圧し掛かってきたから真紀は息苦しさに咽だした。
「新名!・・・おとなしくしろよ、もう、助けも呼べないだろ?」
苦笑交じりの大島を真紀はただ睨みつけるだけしかできなかった。
秘孔へと再度伸ばされ再開する手の動きに真紀は口に含まれた布をただ噛み締めた。
女の様に本来受け入れる場所を持たない男は、痛みに弱い。
それは誰に触れられても一生慣れるものじゃないと信じていた真紀は最近薫に抱かれる度に体を作り変えられてる気がしてならなかった。
だけどそれが錯覚だと真紀は知る。
めりめり、と突き破る様に押し込まれ痛みと違和感そして気持ち悪さを感じる。
埃が舞い、かび臭ささえ感じる部屋に生臭い血の匂いまで充満する。
腰を振り、何の躊躇いもなくがつがつと行き来する大島の横、取り巻きの二人はこらえ切れないのかズボンの中からモノを取り出し真紀の両手の拘束を取ると自身へと強制的に触れさせたまま自慰を始める。
異様な光景だとどこかで警鐘は鳴っているのに真紀はもう抵抗する気力もなく、ただ事を見ているしかできなかった。

「まだ〜?・・・おれもやりたい!」
「・・・オレも我慢できない!!」
真紀の手へと先走りを擦りつけながら文句を言う二人に大島は笑みを浮かべる。
「・・・待て、ってば・・・もう、少し・・・・っく!」
腰を振るスピードが一段と早くなり大島は真紀の中へ二度、三度と腰を押し付けると精液を吐き出す。
眉を顰める真紀に視線を向けるがそれは一瞬で大島はずるり、と少しだけ力を失くしたソレを取り出した。
ぐちゅり、と抜ける水音の後、中に出された精液が零れ落ちる感覚に身震いする真紀に圧し掛かっていた片側が軽くなる。
開いた片腕に力をこめ逃げ出そうとした真紀の肩へと足がのせられる。
「早くやれよ、サダ!・・・お前がもたもたしてるから逃げようとしたじゃんかよ!」
「・・・ごめん、何か穴が卑猥だよなーっと思ってたらさ。」
足を肩に乗せ体重をかけてくる大島の声に「サダ」と呼ばれた病的に色が白い、背の高い男は笑みを浮かべ真紀の孔へと異物を押し付けてくる。
背の高い割にはひょろりとしすぎて迫力も感じられない男は見かけどおり、あっけなく果てる。
順番が回って来たちびでデブの男はにやけ面を真紀へと向けてくる。
「オレ、男はお初なんだよね。何か・・・ドキドキするな。」
「・・・いいから、早くやれよ。」
にやけ笑いを終始浮かべながら力強く真紀の足を開いてくる、ちびででぶの男の声に呆れた大島の声が答えてくる。
「・・・ふぐっ!」
口の割りには何の躊躇いもせず押し込んでくる異物に真紀は息苦しさを増した。
体の割りにあっけない「サダ」に比べ太く雄雄しいソレに真紀は内臓まで届きそうな位深く突かれ塞がれてる口で息がまともにすえなくて鼻で呼吸するのが更に苦しくなる。
がつがつと何度も奥を擦られる。
その度に漏れるぐちゅぐちゅと卑猥な水音。
男の生理は嫌なもので、触れられればたとえ好きじゃなくても感じる。
本来受け入れるべきじゃない場所だとしても、それが無理矢理だとしても何度も突き上げられ、何度も擦られれば、血や精液で濡らされた蕾だって開いてくる。
まして三人目ともなればかなりスムーズになり押し込まれるソレに真紀はただ布を必死に噛み締めた。
こんな事で感じたくなかった。
たとえ反応していたとしても、こんな所で、こんなやつら相手に。
稲光が何度も差し込む薄暗い部屋の中、真紀はただ歯を噛み締め嵐が過ぎ去るのを待ち続けていた。

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散々好き勝手された体には独特の匂いと血の匂いが染み付いていて、真紀はやっと半身を起こすとぼろぼろの制服を見て溜息を漏らした。
制服に入っていた携帯を見るともう二時限目も終わりを告げる時刻だ。
何度も鳴っていたはずの鐘の音さえ聞こえなかったと真紀はぼんやりと思う。
着信履歴に気づき、その音すら聞こえなかったとただ苦笑して履歴を確認する。
直毅からそして薫からも入っていて真紀は乾いたはずの涙を目に浮かべる。
こんな姿で授業には当然出られないし鞄を取りに行くことすら出来ないのをまじまじと自分の姿を見た真紀はなるべく冷静にこれからどうするべきかを考える。
直毅を呼び出しても、きっと薫を呼びだしても変わらないけれど、真紀は携帯のメールを呼び出した。
口で説明できなかったこの状況を上手く伝えるにはメールしかなくて真紀は薫と直毅の両方へとメールを送る。
情けなくて涙がまた溢れだす。
薄暗い部屋の中、簡単に身支度を整えた真紀は膝を抱え込むと顔を埋めた。

「真紀!・・・大丈夫、じゃないよな?」
メールを送って一分もしない内に教室へと飛び込んできた直毅に真紀は顔を上げる。
「・・・ごめん、迷惑かける。」
「気にするな。・・・薫さんから電話来たよ。迎えに来るって。・・・これ、鞄。」
苦笑する真紀の頭を撫で直毅は鞄を渡し、隣りへと座り込む。
「・・・あいつらは?」
問いかけに頭を振る真紀の横、直毅は悔しそうに唇を噛み締める。
「何で真紀?・・・ふざけんなよ!」
小さく悔しそうに呟く直毅に真紀は苦笑しか浮かべなかった。
自分の代わりに痛そうな顔をしてくれる親友の肩へと真紀は頭を擦り付ける。
体中が重くて、真紀は瞼が重くなってしかたなかった。
真紀の意識は段々と薄れていった。

「・・・起きた?」
覗き込む顔に真紀は笑みを浮かべると辺りを見回す。
「部屋だよ。・・・真紀、落ちたから直毅君が運んでくれた。」
髪を撫でながら言う薫に真紀はぼんやりとその声を聞いている。
段々とはっきり形を持ってくる記憶に眉を顰める真紀を薫は変わらず撫でたまま優しく言葉を続ける。
「まだ、眠いなら寝てな。・・・帰りに直毅君寄るって言ってたから、おやすみ、真紀。」
立ち上がろうとする薫へと咄嗟に真紀は手を伸ばし腕を引く。
「・・・真紀?」
「・・・ごめんなさい、薫さん。おれ、また・・・」
「真紀は悪くないだろう?」
「・・おれが油断したから・・・ごめんなさい。」
起き上がろうとしながら何度も謝る真紀を薫は抱き寄せる。
「真紀は悪くない!・・・あいつらを野放しにしたのが悪いんだから。三度目は無い。俺は絶対に許さないから。」
胸の中へと深く抱きしめると囁く薫に真紀は顔を上げようとするが腕に阻まれる。
力を込めてくる薫に真紀は目を閉じる。
嗅ぎ慣れた香水の匂い、馴染みのある温もりに真紀は腕を伸ばし薫の背へと回す。
「熱があるから。少し寝よう、真紀。直毅君が来たら起こすから。」
腕を離しベッドへと真紀を寝かせ薫は笑みを浮かべ言う。
見上げる真紀は笑みを浮かべ頷いた。
少し躊躇いがちに瞳を伏せ立ち上がる薫の名を呼ぶ。
「何?」
「・・・良くなったら、しよう。して、薫さんのおれにして・・・」
「・・・・・わかった。」
目元を赤く染め言う真紀に薫は頷くと部屋を出て行く。
ドアの閉まる音で真紀は溜息を漏らすと頬へと手を当てる。
自分から欲しいと言ったのは実は初めてで、真紀は火照る頬を押さえると苦笑する。
こんな時でも笑える自分が少しは強くなってる事を祈り、真紀は襲ってくる眠気に身を任せた。

反則だろう真紀の顔を思い出し薫は下へと降りてすぐに床へと座り込んだ。
そうして暫く頭を抱えていた薫は立ち上がるとテーブルの上の携帯を手に取る。
二度と触れさせないと誓ったはずの可愛い義弟をもう決して泣かせない為に、薫はメールを打ち込んだ。
今までずるずると引き延ばしていた全てに決着をつける為に。

朝は雷鳴轟く大雨だった空は雲ひとつなく晴れ渡り、段々と強くなってきた夏の日差しを除かせていた。

続きます(そればっか)。そんなに暗くなくて良かったのかな?

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