空いっぱいに祈る恋 3

一筋零れ落ちた涙に気づいても薫は真紀を押さえつけたまま行為を止めようとはしなかった。
唇から首筋、首筋から胸元へと舌を使いねっとりと進める薫に真紀は嗚咽を唇を噛み締めることで必死に耐える。
乳首を摘まれびくり、と反応したのに薫は真紀へと顔を近づけてくる。
「強情はいい加減止めようよ。・・・真紀が良い子ならオレは酷いことはしないよ。」
耳元へと囁いてくる声にどこが、と思う。
嫌がる真紀に無理強いしてるこの行為は何なのか問いただそうと口を開きかける。
「・・・っ!・・・止めて・・・そこは・・・」
思わず漏れた悲鳴じみた声に構わずに薫は手を止めない。
下肢へと手を伸ばし自身をぎゅっと握り締められ身じろぐ真紀を気にせずに薫は軽く握った場所を揉み扱く。
抗おうとするが抱きこまれ身動きも取れず真紀は口を押さえる。
「・・・っん・・ああ・・ふっ・・・」
「ねぇ、真紀。家にもう誰も連れ込まないから正直になろうよ。・・・やりたかっただろう?」
問いかけに必死に首を振る真紀に薫は強情だね〜と溜息を漏らす。
押し戻そうとする真紀の両腕を手じかにあったシャツで固定すると薫は下肢へと顔を埋める。

静かな部屋にくちゅくちゅと鳴る水音がやけに響き真紀は身じろぐ。
ぎりぎり締め付ける手首のシャツを外したくて一応は抵抗してみるが無駄なあがきにしかならずに、気を抜くと思ってもない声が出そうで必死に唇を噛み締める。
舐められ吸われ本能で起ちあがる自身から先走りの液が垂れだし後孔へまで伝わっていくのに真紀は両足をばたつかせ逃げようと試みるが、がっしり掴まれた足はあまり動かずに強制的に射精を促される。
我慢はできなかった。
巧みな手管に勝てずに強烈な快感が体中を巡り気づけば吐き出した後の倦怠感が真紀を襲う。
ぐったり、とする真紀の両足の間に押し入ると薫は先走りで少しは濡れている後孔へと指を伸ばす。
外側だけ濡れてても当然だけど中は堅いそこを舌で押し開きながら濡れた指を差し込んでくる。
「・・・・んんっ!」
びりびりする痛みと異物感に真紀は首を振り逃れようとするが力は入らずで薫は構わずに唾液や精液を使い指を奥へと差し込んでは抜きを何度も繰り返す。
気が遠くなるほど何度も繰り返されるその間に指が増えてるのにも気づく。
内部を押し開かれ中に指が入る度にぐちゅぐちゅと音が鳴り出す頃には真紀は痛みより異物感よりも言葉に出来ない感覚に襲われていた。
射精時の快感とはあきらかに違うその感覚は噛み締め必死に声を押し殺す真紀には酷い苦痛をもたらすものだった。
指がある一点を通過する度に真紀はびくりと身を震わせる。
真紀自身でさえ触れられてもいないのに再び起ちあがり先端を濡らしはじめていた。

かちゃかちゃ、とベルトを外し、じじぃとチャックを下げる音の後熱く既にぬめったものが後孔へと当てられる。
「・・・・いやだ!・・・無理!!」
これから起こる事に怯え拒む声を無視しそれはゆっくりと馴らされた場所を犯してくる。
指じゃ比較にならないほどの異物感と激痛。
「・・・・・・・・っあ!・・・・ああああ」
もう声を噛み殺す事すら出来ずに悲鳴を上げる真紀に構わず薫は奥へと突き入れてくる。
「・・・・っ!・・・真紀・・・力、抜けって・・・」
最奥へと突き進みながらきつそうに言う薫に真紀はただ首を振る。
手を前へと伸ばし萎えかけたモノを扱きだし薫は真紀へと顔を近づけてくる。
それだけで中のモノも動き痛みに目の周りで潤んでいたいた涙をぼろぼろと零しだす。 痛みと反する快感の両方に挟まれぼろぼろ流れる涙を薫は舌で舐めとり真紀へとキスをする。
それは唾液の滴る深く味あうキスだった。
いきなりの強烈なキスに一瞬体の力を緩めた真紀を見逃さずに薫は腰を緩やかに動かし始める。

痛みが快感に摩り替わるのはそれからすぐだった。
指で見つけられた弱い場所を攻められキスで唇を封じられ微かな隙間から漏れる吐息はいつしか苦痛のそれではなくなっていた。
何度も出し入れされるたびにぐちゅぐちゅと卑猥な音が漏れだす。
緩やかだった動きは次第にスピードを上げ何も考えられなくなっていた。
「あっ、あっ、ああっ」
唇を離されても噛み締める力も無く真紀は喘いでいた。
扱く速度と突き入れる感覚が早くなり薫の荒い息も耳元で聞こえる。
「・・・・っ、イク!」
呟いた薫の声の後中に生温い液体が広がり何度か腰を打ち付けられ真紀も薫の手の中に白濁を吐き出す。

どさり、と圧し掛かり薫は真紀へと軽いキスをしてくる。
「・・・何で・・・」
「連れ込まないから、真紀を食おうと思ってね。」
悪気も無く答える薫に真紀は呆然とする。
「家じゃない場所でやれば・・・」
「・・・何で?真紀が寂しいじゃん。・・・大丈夫、もう連れ込まないし真紀だけだから。」
笑みを向けてくる薫が真紀は怖くて溜まらなかった。
真紀の進んでる道を、進もうとしてる道を壊されそうで、信じた世界が崩れていく気がした。
再びキスをしてくる薫を真紀は瞳を閉じ受け入れた。

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望んだのは一つだけ。
仲の良い昔の様な兄弟で入れることだけ。
こんな事は望んで無かったはずなのに・・・・。

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朝、起きるのがこんなに辛かったのはきっと今まで一度も無い。
眠りについたのは朝日が昇り始める頃だったと真紀はぼんやりと考える。
頭は重いし、きっと泣きすぎて目は腫れてる、そして体中がだるくてまだあそこに何かがはまってる感覚があるのも気のせいじゃないと思う。
ずっと眠りにつくぎりぎりまでやっていた。
真紀が喘いで薫を「良い」と言うまで散々責められた。
何度も中に出され何度もいかされた。
思い出すと自己嫌悪で泣きたくなるし、薫と会いたくないと思う。
未知の世界のままでいたかった。
知りたい世界じゃなかったのに、どうして自分はバカな事をしたのかと後悔ばかりが襲う。
薫が誰と寝ようと知らない振りをしてれば、思い出して自慰をしなければ、普通の兄弟でいれたのにあの感覚を知らずにいれたのにと何度も考えては悔やむ。
もう遅いのに真紀は悩みながらももそもそと起きだし階下へと向かう為部屋を出る。
歩く度に突き抜ける痛みに顔を顰めたまま真紀は洗面所へと向かう。

「おはよう、真紀。・・・起きれたんだ。」
にこやかに言う声に真紀は身を竦ませる。
「・・・薫さん・・・」
ぼんやり、呟く真紀に薫は笑みを浮かべる。
「今日は学校休んで良いよ。・・・連絡しといたから。」
「・・・何で」
「辛いだろう?・・・まぁ、その内慣れるけどね。」
立ち尽くす真紀にぼそり、と言うと薫はリビングへと去って行く。
ご機嫌な薫に残された真紀はその場に暫くの間立ち尽くした。

「ごはんは?」
「・・・食べる。」
いつもと同じ朝の普通の会話だと思う。
でも明らかに二人の関係は変わってて真紀も昨日までの真紀じゃない。
温度差があって離れていく薫をありのまま受け入れれば良かったのにと起きた時の後悔がまた思い出される。
何度悔やんでも変わらない事実を受け入れる準備がまだ真紀にはできていなかった。
だから、薫はますます遠い人になった気がしてしょうがなかった。
これから自分たちがどこへ向かうのか真紀には何一つわからなかった。

どこへいくんでしょうか・・・私も知りたいです;

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