「ただいま」
重い扉を開き呟く夏の声に静まり返った部屋からの答えはもちろん無い。 両親が旅行に行ってから、やっと3日。まだあと11日もあるのだと考えるだけで、溜息が尽きない夏は重い足取りで部屋へと続く階段を上り始める。
「・・・・・おかえり、夏。帰ったんだ。」
この2日の間、ほとんど『開かずの扉』と化していた部屋から顔を出し、笑みを浮かべ告げる秋紀に夏はそのまま立ち止まる。
「・・・・・疲れてる?」
「そう見える?」
両親が旅行に行った次の日から、部屋から一歩も出る事の無かった秋紀は心なしかやつれた感じがして、つい首を傾げ問いかける夏に秋紀はただ引き攣るような笑みを浮かべてくる。
「・・・・・ごはん、食べてる?」
「何とか、ね。・・・・・作り置きありがとう。」
「うん。まだ、仕事かかりそうなら、また作っとくから適当に食べて。」
疲れているのか、いつもより更に言葉の少ない秋紀に夏は用件を手早く告げると自分の部屋へと向かう。
「・・・・・着替えるんだけど、何か用?」
「特に無いけど、いたらダメ?・・・・・邪魔?」
夏の後に続いて部屋に着いてきた秋紀はベッドの上に座りこむと戸惑う夏を不思議そうに見上げてくる。
「・・・・・別に。」
見上げてくる顔が本当に不思議そうだから、夏は何も答えられずに呟くと、さっさと制服を脱ぎ、部屋の隅に脱ぎっぱなしで放置していたパーカーとジーンズへと手を伸ばす。その間も、刺さる視線を感じられ、見られる感覚に夏はひっそりと眉を顰める。
「・・・・・ねぇ、夏。もっと、色気ある着替えとかできない?」
頭からパーカーを被り、顔を出した瞬間に問いかけられ、不恰好な状態で固まる夏の耳にぎしり、とベッドの軋む音が響く。近づいて来る気配に背を向けるとジーンズを手に夏は部屋の隅へと逃げる。
「色気、って・・・・・何、言ってんの?」
「パーカーの着方一つで変わる方法とか、何か無い?」
「・・・・・バカじゃないの?」
真剣に取り合ったらバカを見るのは夏の方な気がしてさっさと中途半端に頭に被ったままのパーカーを着るとズボンへと手をかける。
「男同士だし、兄弟じゃん!・・・・・見られて困る事なんて無いだろ?」
「その視線が嫌だ!・・・・・何か、変な気分になる。」
すぐ傍で響く声にびくり、と体を震わせ頭を振った夏はズボンのベルトをかちゃかちゃ外そうとして中々外れないソレに苛々しながらも呟く。 「やだな、身内に緊張?」
「うるさいよ、秋紀!・・・・・ちょっと、離れろよ!!」
手を伸ばしてくる秋紀から少しでも距離を取ろうとする夏の背に秋紀は張り付いてくると背後で笑いながら呟く。背に感じる体温と耳元をくすぐる生温い息に身震いする夏は益々外れないベルトに舌打ちをする。
「良かったら俺が外そうか?・・・・・兄弟だし、気にするなよ。」
手の上にそっと回した手を重ねながら呟く秋紀の声に夏は手をベルトから思わず放すと、秋紀の腕の中から抜け出ようともがく。 「秋紀、何、言って・・・・・ちょっと、離れろよ!」
「まぁまぁ、良いから、良いから。」
もがきながらも呟く夏の背から回した腕をすんなりベルトに回し、かちゃかちゃと見もしないベルトをあんなに戸惑った夏の困惑なんか気にもせず器用に外し告げる秋紀に背筋がぞくぞくと震えるのを夏は感じる。
*****
「夏、ベルト外しただけなのに・・・・・まさか、感じちゃった?」
ばたばたと懲りずにもがく夏を抑えこみ、ベルトを外しファスナーへと手を伸ばしてきた秋紀の言葉に夏は背を奮わせ俯く。言葉もなく俯いた夏の耳たぶが赤く染まるのに秋紀は口元に笑みを浮かべるとそのまま下着へと手を伸ばす。上からそっと触れる秋紀に夏は身を捩り精一杯の抵抗は見せるけれど、背後から抑えこまれていてはろくな身動きは取れなかった。
「・・・・・秋紀・・・・・」
「大丈夫。・・・・・触りっこみたいなもんだよ、ね。」
戸惑う夏の声を遮り軽い声で呟いてくる秋紀の手は遠慮なく下着の上から、少しだけ頭を擡げてきたソレを包みこむように揉み出す。思わぬ展開にまだ追いつかない思考でただ夏は眉を顰める。
「・・・・・夏、中、見て良い?」
下着ごし段々と先が濡れ湿ってくるそれを秋紀は背後から覗き込み更に強く扱き出しながら呟くと、夏の答えも聞かずに下着を剥ぎ取る。直接触れる空気に身震いする夏に構わず、秋紀が直に触れてくるのを夏は他人の手で扱かれるその異様な光景に更に興奮が増す自分を感じながらぼんやり見つめる。 自分以外の人が触れている、なのに益々反応を示す、自身の先からはぽたぽたと零れ落ちる程の液が染み出し溢れだして来る。自慰では得られない感覚に頭の奥が熱でくらくらしながら、空気の下に晒され益々反応を示し起ち上がる自分が秋紀の手の中ますます膨れ上がるのを見ていられなくて夏はついに目を瞑る。
「・・・・・ちゃんと見なくて良いの?何、するか分かんないよ。」
耳元で告げる秋紀の声に頭を微かに振った夏は熱に支配される自分を感じていた。目の前にもう少しで到達できる衝動の先が見え、溢れだしそうな声を唇を噛み締めただ堪える。その間にも最初は軽く触れているそれだけだったのに、ぐちゅぐちゅと溢れ出した音を聞かせる為なのか、強く扱き出した秋紀に夏は背後にほとんど寄りかかるように辛うじて立っていた。自分の力では既に立っていられなかった。
「・・・・・っん!」
「夏、いきそう?・・・・・イって良いよ。ほら、だいぶこっちも溢れだしてきてるよ。」
頭を擦りつけ呻く夏に秋紀は耳元へと呟き、だらだらと涎を垂らすかのように先からぼたぼたと零し、限界まで膨れ上がったソレを更に強く扱き出す。 その声に唆されたのか、本当に限界だったのか身震いをした夏は唇を強く噛み締めびくびくと震えだす。手の中に溢れだす白濁は床や壁にまで飛び散り、はぁはぁと荒い息を繰り返す夏は完全に秋紀に支えられ胸元へと倒れこんでいた。
「思ったよりも。多かったね・・・・・あーあ、壁にまで・・・・・」
呟く秋紀の声に薄っすらと目を開けた夏は白濁に濡れた秋紀の手を真っ先に視界に入れ、びくり、と体を揺らす。だけど、自力で立てる気力すらなく、腰から下はほとんど感覚が無かった。
「・・・・・ごめん、何か拭くもの・・・・・」
呆然とした声で呟き秋紀の胸の中に囲われている自分に夏はますます体を恐縮させながらも離れようとする。
「大丈夫だから、落ち着いて。まともに歩けないだろ。ちゃんと連れて行ってあげるから。」
そんな夏に低く呟いた秋紀はそのまま腰へと手を回し抱えるように夏をベッドへと連れて行き座らせる。まだ現状を理解していないのか、呆然とした顔の夏の頭へと手を伸ばしかけ秋紀は汚れた自分の手を眺める。 眉を顰め見上げてくる夏の目の前で秋紀は汚れた自分の手へと舌を伸ばす。舐めとるその姿を異常なモノを見せられた気分でつい目を伏せる夏に秋紀は顔を近づけてくる。
「・・・・・秋紀?」
「夏だけなんて不公平だよね?・・・・・気持ち良さそうだったのに、俺には何もなし?」
「何、言って・・・・・」
顔を覗き込み告げてくる秋紀の声に夏は思わず身を避けるとベッドの隅へと蹲る。近づいて来る秋紀から逃れるようにさらに後ずさる夏に秋紀は口元に笑みを浮かべる。
「後ろは壁だよ、夏。・・・・・俺も気持ち良くして欲しいな。」
とん、と背にぶつかる壁に逃げられないまま、近づく秋紀を見上げてくる夏の戸惑いと困惑がごちゃごちゃになった顔に秋紀は更に笑みを深くする。
*****
「待て!・・・・・待って、秋紀・・・・・冗談、だよね?」
「冗談?失礼な、こんな事で冗談言う訳ないだろ?・・・・・諦めな、夏。」
行き止まりだと分かっていても近づいて来る秋紀から逃れる道を探しながら引き攣った笑みを浮かべ告げる夏に真剣な目を向け、にやりと笑みを浮かべる秋紀に夏は背筋にぶるり、と悪寒が走る。
「・・・・・夏、もう、逃げられないよ!」
顔の両脇へと手を伸ばし顔を近づけ答える秋紀に夏はびくり、と震える。そんな夏に更に顔を近づけ秋紀はそのままぺろり、と舌を出し唇を舐めてくる。
「秋紀!・・・・・兄弟だよ、俺ら・・・・・こんなの間違ってる!!」
頭を振り秋紀から顔を背け叫ぶ夏に秋紀は鼻を鳴らす。
「兄だと思うなら、たまには「お兄ちゃん」ぐらい言おうよ。・・・・・夏、諦めて流されちゃいな。」
逃げようともがく体を抑えこみベッドに押し倒し、口元に浮かべた笑みをそのまま秋紀は夏の唇へと触れてくる。ちゅっと軽く触れた後、震えだした夏に更に深く唇を重ねてくる。
ちゅく、と音がする程深く長く貪られ、やっと離された唇の端から唾液が伝うのを秋紀が舐め取る。抵抗も忘れ呆然と見る夏に秋紀は笑みを浮かべたまま、また顔を近づけてくる。
この歳になるまで、夏は他人の肌を知らないいまどき珍しいお子様だった。初心だと言えばそれまでなんだろうけれど、他人の肌を知らないからこそ、想像力だけは人一倍有り、ファーストキスやそれ以上の事にもそれなりに夢を持っていた。同級生の猥談も軽く受け流しはしていたけれど、それなりに興味はあった、でも話を聞きながらも初めてはやっぱり「好きな人」と決めていたはずなのに、今、夏の上にいるのは見慣れた兄だった。 何度顔を逸らしても追ってくる唇から逃れられずに、深く深く口の中まで犯され、生温い物体が口の中を掻き回し、飲み込みきれない唾液がだらだらと零れだす。 想像していたよりももっとずっと生々しい行為に夏は今にも泣きそうな自分を堪える。
「・・・・・夏・・・・・触って、俺の。」
耳もとで呟かれ、そろそろと下肢へと伸ばしかけ途中で止まる夏の手を秋紀はキスをしながらも強引に引き寄せてくる。軽く触れただけで布越しに伝わる熱にびくびくと震える手をそのまま秋紀は強引に押し付けてくる。
「・・・・・秋紀・・・・・」
「そのまま撫でて。まだ、ズボン履いとくし、下着もつけたままだから。」
言われた言葉に戸惑いながらもそっと撫ではじめる夏に秋紀は強く体を押し付けてくる。逃れられないように腰を抑えキスをしながらも擦り寄ってくる秋紀に夏は布越しに更に反応を示してくるソレへと置いたままの手を必死に動かした。
そこで切る?・・・・・すいません、長くなりそうで。というか、いつまで夏編?もう少しだけお付き合い下さい。
back next top
|