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本当は立っているだけで足が震えているのが分かる。
背筋を冷たい汗が流れ落ち、悠里は瞳を一度閉じるけれどぎりぎりと握り締める手に力をこめ、目の前でただ笑みを浮かべたままの男を再度睨みつけた。
「取る気無いなら、俺はもう行くよ。一応自習の間の見張りだし・・・・・」
一歩も動こうとしない悠里に溜息を吐きながら告げる泰隆はそのまま悠里へと近づいて来る。
思わず肩を揺らし後ずさる悠里に見向きもしないままドアへと手をかける泰隆を悠里は呆然と目で追う。
「・・・・・・待って、・・・・・これ・・・・・・」
「自分で取れば?簡単だから、ただ引っ張れば良いだけ。じゃあ、また。」
戸惑いながら問いかける言葉に淡々と返しそのまま出て行こうとする泰隆に悠里はつい手を伸ばした。

「・・・・・何?」
捕まれた腕を見た後、視線をそのまま上げて真っ直ぐに見て来る泰隆に悠里はこくり、と唾を飲み込む。
「・・・・・取って、これ・・・・・」
「だから、自分で取れば?取って欲しいなら言い方があるだろ?」
服を掴み見上げる悠里を見下ろした泰隆は淡々と答えると笑みを浮かべる。
爽やかとは程遠いその笑みから思わず視線を逸らした悠里はもう一度唾を飲み込む。
「・・・・・お願いします。取って、下さい・・・・・・・」
擦れた声で呟いた悠里を見下ろした泰隆は無言のまま手を伸ばす。
冷たい手が頬に触れびくり、と肩を揺らし顔を上げる悠里を見下ろした泰隆はそのまま伸ばした手でゆっくり頬を撫でる。
「取って欲しいんだろ?・・・・・一人じゃ取れない?」
問いかけに無言のままこくこく、と頷く悠里へと顔を近づけた泰隆はそのまま奪うような濃厚なキスを送ってくる。
ねっとり、と舌を絡められ、唾液を送りこまれる。最初から深く唇を貪られ、いきなり乱暴に引き寄せられた腰、そのせいでただでさえ立っているのが辛かった体は抵抗する間もなく泰隆の腕の中へと捕らえられていた。

「んっ・・・・・・っあ・・・・・・」
飲み込みきれずに唇の端から零れた唾液でさえ、舌を這わされ、ときに唇で啄まれ、悠里は耐え切れないように呻く。
辛うじて立っているけれど足はがくがく震え堪えきれない喘ぎを必死に噛み殺そうと努力する悠里を嘲笑うように泰隆は内部からの微妙な振動に絶えず刺激されかなり先が滑り、頭を持ち上げたままの欲望へとズボンの上から触れてくる。
「ずっと、このまま?・・・・・・下着は・・・・・・濡れてる。」
耳元に息を吹きかけ、手早く外したズボンの中に手を差し込み下着越しに触れてくる泰隆の笑みを漏らしながらの言葉に悠里はびくびく、と肩を揺らし「んんっ」と呻いた。
「あまり時間は無いから取るだけにしとこうか。残念だけど。」
残念そうに告げ息を吐くと気づかないまま縋りついていた悠里を手近な椅子の上へと座らせた泰隆は戸惑う悠里の足を大きく広げるとその前へと体を差し入れ座りこんだ。


*****


後孔への微弱な刺激ですっかり勃ちあがった自身をそろそろと撫でられ悠里はびくびくと体を揺らす。
ぎしり、と軋んだ音を立てる椅子に体の動きを止めようとする悠里に笑みを浮かべたまま泰隆は目の前のものから後へと手を伸ばした。
濡れた下着のおかげか中で今もなお稼動している異物のせいなのか、じっとり、と湿ったままの小さな穴は指をなんなく受け入れる。
収縮を繰り返す内壁の中、無機物な道具をずるずると泰隆が引き出そうとするから、悠里は唇を噛み締める。
移動するだけでも刺激する、ましてまだ微妙に稼動しているそれに縦横無尽に中を掻き回されている様で漏れそうになる声を必死に噛み殺す。
実際は引き出されている、ただそれだけなのに、指を中に入れられ掻き回されるそれよりもはるかに刺激は強かった。
今までは篭った振動音が微かに聞こえていたはずのその音がやけに大きくなり、悠里はほとんど椅子にかけていた体重をずらすと顔を下げる。
目に入った両足を広げ間に男を挟んだ自分には蓋をしてもう少し身を起こす悠里に気づいたのか泰隆が顔を上げる。
「気になる?・・・・・・これ。」
笑みを浮かべたまま目線を移す泰隆に釣られた様に移動する悠里の視界の中でありえない場所から少しだけ顔を出している異物に気づきすぐに逸らそうとした悠里の前で泰隆の指はその異物へと触れる。
「・・・・・・っ、や・・・・・・・」
擦れた抗議は泰隆の耳には入らなかったのか、そのまま無視されたのかぐぐっ、と指に力をこめまた中に押し込もうとする泰隆に悠里は身を捩じる。
否定しても、拒んでも無理だと分かっていたけれど何かしないと耐えられなかった。
「これ、良くなかった?・・・・・悠里の中は喜んで迎えようとしてるけど?」
顔を上げやっぱりその顔に笑みを浮かべたままの泰隆の言葉に悠里は無言で首を振る。
太ももに微かに零したのか息が触れ、びくり、とまたしても些細な刺激に身を震わせる悠里は自身が熱い何かに包まれたのを感じる。
いつまにか逸らしていた視線をまた下に戻す悠里には泰隆の頭のせいで何も見えない。
だけど感覚で、経験で何をされているのかは分かり、手で口を抑えた悠里は小刻みに動く泰隆の頭を眺める。

ちゅく、ちゅくと聞こえる水音、いつのまに取り出されたのか床へと放り投げられた異物は未だに稼動していて微弱な振動でぶるぶると震えている。
そんな音すら耳に入らない悠里はぎしぎしと軋む椅子の上、両足を抱え上げられたそんな格好のまま与えられる刺激に溺れそうになる自分と必死に戦っていた。
まだ授業中とはいえ、誰が通るかも分からない教室の中、快楽に溺れてしまえば、我を喪ってしまったら、その先を想像するのが怖くて悠里は唇を噛み締める歯に力を籠め手を伸ばした。
微かに触れた感触を引き寄せる様に空を指でかく。
触れた温もりが泰隆の頭なのだと確信した悠里はその髪を掴むと引き離そうと試みる。
でもそんな些細な刺激に泰隆の顔が上がる事も無く、もっと奥深くへと迎えたのか、ねっとりと熱いものにほぼ全てが包まれ悠里は髪を掴む手の力を知らずに緩める。
「・・・・・んっ、やぁ・・・・・っく・・・・・」
堪えきれずに漏れた呟きをもっと煽るように包みこまれた自身に絡みついてくるものに先端を突かれ、唇を窄めたのかぎゅっと締め付けられる。
何度も同じ事を繰り返され、悠里は荒い息を吐くと唇に再度力をこめる。
「・・・・・悠里、いかないの?早くしないと、俺が教室に戻れないだろ?」
顔を上げた泰隆のその言葉に悠里は唇を噛み締めたまま彼を睨み付ける。
「・・・・・そんな、潤んだ目で睨まれてもね・・・・・・迫力もない、かな。」
楽しそうに先を続ける泰隆に悠里は反論する言葉も思いつかないまま、無言で視線を逸らした。
そんな悠里に泰隆はやっと身を起こすと顔を近づけてくる。
「どうする?・・・・・・俺はもう行くよ、保健室に行く前に気持ち悪くてトイレに篭っていたと言い訳はしといてあげるよ。」
目の前で平然と話す泰隆に悠里は肩を少しだけ動かす。
それでも無言の悠里に泰隆は暫く彼を見ていたが何も無かったかのように立ち上がる。
「・・・・・・どこへ?」
「教室に戻る。・・・・・悠里はこのまま保健室に向かえば?じゃあ、また。」
今の今まで、していた全てを無かった事にした淡々とした答えに悠里は戸惑う様に泰隆を見上げる。
「・・・・・何?・・・・・・言いたい事があるならどうぞ。言わなきゃこのままだよ、悠里。」
再会してから絶えず笑みを浮かべている泰隆を見上げたまま悠里はこくり、と唾を飲み込んだ。
喉が渇いている、そんなわけじゃない。
だけど、渇いているものがある。


*****


「・・・・・行かないで、俺を置いて・・・・・行かないで下さい。」
小さな声で呟くとそのまま立ち去ろうとする泰隆へと悠里は手を伸ばした。
「・・・・・なら、どうする?」
腕を、というより微かに触れた服を掴み濡れた瞳で見上げる悠里に泰隆は笑みを顔に貼り付けたまま淡々と問いかけてくる。
その笑みに背筋に悪寒が走る気がしながらも悠里は大きく息を吸うと口を開く。
「・・・・・続けて、下さい。」
散々煽られた体には熱が篭り、このままでは立ち上がる事はおろか立ち上がる事すら出来ない、そう悠里の中で囁く声がする。
止めろ、と理性は反対の事を言うのに、本能は逆を求める。
笑みを深くする泰隆の服を掴んだまま身を少しだけ起こした悠里は目の前のモノへと視線を移す。
布で覆われたままのソレは悠里のモノとは違い、何の変化も見られない。
もう一度、こくり、と唾を飲み込んだ悠里は掴んだ腕を離すと目の前へ両手を伸ばす。
震える指で目の前のモノに触れ、ベルトを探し出し前を寛がせた悠里は泰隆の顔を目だけで見上げたまま未だ下着のままのそれへと顔を近づける。

布越しの時と変わらないまま、何の反応すらしていないそれを下着を剥ぎ取り両手で持ち上げるとそのまま舌を伸ばす。
泰隆は立ったままそんな悠里を無言で眺めたままだ。
先端を舌で何度も舐め、軽く両手で持っていただけのソレを包みこみながらも手を動かし悠里は一瞬の躊躇いをかき消すように一気に口の中へとソレを銜え込む。
全部を銜え込むのは当然無理で、手で扱きながらも先端から口の中にある範囲で舌を這わせる。
少しづつ己の力で勢いをつけてくるソレの先から漏れだした液すらも啜る悠里に泰隆は彼の頭から首筋にかけてをゆっくりと伸ばした手で撫でてくる。
撫でられるそれが妙に気持ち良くて悠里は熱をこめそれを愛撫するのにいつのまにか没頭していた。
カシャリ、とした音で思わず顔を上げた悠里はカシャリ、と再度聞こえた音に銜えたソレを離そうとするけれど、先を読んでいたのか泰隆に後頭部を押さえ込まれそれは叶わなかった。
目に映るのは見覚えのある携帯。その向こうに見える泰隆の笑みに悠里はぶるり、と震える。
「続けてよ、良い画が撮れたんだから。・・・・・ほら、もっと銜えて。」
そんな言葉と同時に喉の奥に押し付けられ咽こみそうになる悠里に構わず泰隆は腰を動かしてきた。
「・・・・・・っん、んんっ・・・・・・んぁ・・・・・・」
苦しそうな悠里の呻き声に、泰隆は腰を引く。
ずるり、と口から零れたソレは熱を持ち雄雄しく勃ちあがったままで口の中に入っていたからか先端から途中までは濡れててらてらと光っていた。
咽る悠里の顔を上げた泰隆は顔を近づける。
「銜えるだけで満足、じゃないだろ?・・・・・悠里のここは俺を欲しがっているし。」
冷たい声にびくリ、と肩を揺らした悠里の唇をそのまま奪うと、泰隆は両足を抱え上げ身を進めると一気に貫いた。
声にならない叫びは口の中で消される。
最初から躊躇う事なく最奥を突かれ悠里は思わず伸ばした手で泰隆に縋りついた。

一際目立つ濡れた音、ぐちゅ、ぐちゅと静かな教室にそれだけがやけに大きくひっきりなしに鳴る。
泰隆の肩へと縋りつき押し殺した喘ぎを零しながら悠里は燻る熱が外に出されるのがもう少しだと本能で感じる。
指より太く、入れられた無機質な異物より正確に奥を突くそれは温もりも弾力もある。
ぐちゅ、ぐちゅと漏れだす水音が更に大きくなる度に中にあるものは更に熱を持つ
ぎしぎしと軋む椅子の上、大きく広げた両足を抱え上げられたそんな姿で悠里は受け入れる肉の塊を更に引き込もうとする体の変化にも気づいていた。
何度も抱かれた、あの頃よりも深く深く繋がる体にどこか虚しさを感じながらも揺らされるそのままに、悠里は泰隆の肩へと縋りついた手に力を籠める。
もうすぐ迎える熱の奔流、燻る体の奥に篭る熱が溢れだす、その時だけを考える為に悠里は瞳を閉じた。


授業にまともに出れるのか、こいつ。
そんな疑問を抱きながらの第五話でした。
それにしてもこれ私的にはちょっと痛い話なのですがどうでしょうか?

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