「・・・・・んっ、んっ・・・・・っあ、や・・・しん、じ・・・・・」
「・・・もっと、奥? ・・・・・・・ここ?」
「あんっ・・・・・・・やっ・・・んんっ・・・・・・あっ、っく・・・・・・・・・・!!」
玄関先で始まった行為は方々に服の残骸を残しながらベッドへと辿り着いてもまだ続けられた。 もう、互いの繋がっている場所からはぐちゅぐちゅとねばついた音が漏れだし、体中、汗やそれ以外の物でべとべとなのに、欲望はまるで尽きないでいた。 ギシギシと音がなるほど激しく軋むベッドの上で絡まりあい、それでも尽きない欲望のままに互いの体を慎二も浅葱も貪るように欲していた。もう、何度目なのかも分からない絶頂を迎え、びくびくと体を震わせる浅葱をしっかり抱きしめた慎二は、自身も何度目かの精を最奥へと放った。 まだ荒い息を整えながらも、尽きない欲望の現れた熱の篭った視線で見上げてくる浅葱に慎二はまだ深く繋がったままの体を放すことなく、キスを送る。 少しづつ熱を帯びてくる自身を感じながらも、合わせた唇をそのままに慎二は更にきつく浅葱を抱きしめると、再び尽きない欲望の海へと喜んで飛び込んだ。
「・・・・・浅葱、好きだよ・・・・・」
キスの合間に深く繋がった体を抱きしめそっと囁く慎二の声が浅葱の耳の奥いつまでも響いていた。
差し込んでくる眩しい光に重たい目を押し開きしょぼしょぼと霞む目を擦った慎二は瞬きを繰り返し、慣れない部屋をきょろきょろと見回してから、次第に鮮明になる記憶を頼りにベッドの中を探る。 温もりはあれど、その姿すら見当たらない、昨夜というか結局朝方まで貪った浅葱の姿は当にベッドにはなくてそれでも残された温もりに慎二は勢いをつけてベッドから起き上がると寝室を出て行く。
*****
部屋を出てすぐに忙しなく動き回る見慣れた後姿を見つけた慎二は口を開く。
「・・・・・おはよう・・・」
眠そうな声で照れくさそうに声をかけた慎二に顔を上げた浅葱は少し頬を染めるとそのまま笑みを浮かべた。
「おはよう、ごはん、食べる?」
「・・・・・食べる、ありがと・・・あの、さ・・・・・・・・」
「何?・・・・・苦手なものとかある?」
「・・・・・無い、けど・・・体、平気? 終わった時にはしんどそうだったから・・・。」
曖昧だけど、何度も抱きしめた体は熱く火照り、互いに言葉もなく荒い息のまま眠りについた記憶だけが薄っすらと残っていて、爽やかな朝とはいっても、もうお昼に近い日の光で何となく時間を計った慎二の問いかけに浅葱は更に顔を赤く染める。
「・・・・・浅葱?」
「平気だから、何か、昨日は・・・・・って、真剣に聞くなよ! ごはん、ごはん食べよう!!」
どんどん赤く染まっていく顔を俯けた浅葱はぼそぼそと呟き、一度頭を振ると笑みを見せ話を変えてくる。 そんな浅葱に慎二はこくり、と唾を飲み込みただ笑みを返した。 本当は今すぐ抱きしめてもう一度ベッドに戻りたい気分だったけれど、起きて早々にそんな不埒な事を考える自分にひっそりと苦笑を漏らした。 会話らしい会話も無いまま食事を始めて、淡々と互いに物をひたすら食べた。 沈黙に耐えられないのか途中、浅葱がつけたテレビの音声だけ虚しく部屋の中で響いていた。
「浅葱!」
食事の後片付けを始めた浅葱は声をかけられて、手にしていた食器をテーブルから持ち上げようとして、がちゃり、と硝子の重なる派手な音を鳴らした。
「・・・・・何? あ、帰る?」
「違うって・・・・・俺の方、見てくれない?」
背後からそっと近づきながら話す慎二の目の前で薄い肩がびくり、と揺れる。 食事の時に収まるだろうと思っていた慎二の欲望は食事中に更に強くなっていた。 一分、一秒でも時間が惜しい、片付けなんて後で良い、今すぐもう一度深く感じたくて、浅葱を背後から引き寄せるようにして抱きしめる。
「・・・・・慎二、片付けないと・・・・・」
「後でいいよ、浅葱、欲しい。」
ぽつり、と的確に伝えてくる言葉を耳元で囁かれ、耳元へと更に吹きかけられる吐息に浅葱はもう一度持ち上げようとしていた食器を今度は豪快に床へと落とした。 がちゃん、がちゃんと次から次へと割れていく破片から遠ざかる為に浅葱の腕を引くと早々に台所から出た慎二はそのまま寝室へと歩いていく。
「慎二!!」
「・・・・・ごめん、でも、触れてないと、夢だと思うから・・・もう一度、何度でも確かめさせて。・・・・・俺のモノだって・・・・・」
ぎゅっと強く抱きしめたままベッドへと押し倒し、呟きながらも唇を求めてくる慎二に浅葱はただ笑みを浮かべると何も言わず、ただその背へと腕を伸ばした。
「浅葱?」
「・・・・・んっ、慎二は・・・俺のモノ?」
「ああ、お前のモノだよ。 だから、俺のモノだって証明して・・・・・」
慎二が何度も唇を重ねながら囁くから、その背へと伸ばした手に浅葱は微かに力を込めたままキスを受ける。
舌を絡め、互いの唾液を啜りながら着ていた服を剥ぎ取り、生まれたままの姿で抱き合う。 日の光の差し込む部屋の中、お互いの姿がくっきり、はっきり見える、こんな時間からこんな行為に耽るのはどうかと理性が囁くのに、一度触れ合えばもう止まらなかった。 何度もキスをしながら下半身を押し開きぎちぎちと狭く閉じている内壁へと進む頃には昼間なんて事も互いに忘れていた。
「あん、んんっ・・・・・ああっ・・・しん、じ・・・・・・もう・・・」
奥まで入り込み、ずんずんと突きあげる慎二に堪え切れない喘ぎを零しながら浅葱は必死に汗で滑る背へと爪を立てる。 ぴりり、と走る痛みに少しだけ眉を顰めた慎二は浅葱を抱え込むと更に深く奥を擦り上げる。 びくん、と震え上がる浅葱の先からはずっと先走りの液が零れ落ちていて、慎二は腹の間を滑る液体を感じながらもキスをするために顔を近づける。 両足を押し開き、ぐちゅぐちゅと聞こえる接合音すらも気にならない程に酔いしれる浅葱の奥へと白濁を一滴残らず注ぎ込み、深く舌を絡めるキスを長く続ける慎二は言葉にするのももったいないほどの満足感が体中を駆け巡るのを感じていた。
*****
その後起きだしてもそもそと夕食を食べた二人はテレビを見て普通の会話をしていたけれど、お互いに火のついた体は留まる事を知らずにその夜も朝方近くまで互いの体を貪る行為へと没頭していた。
「いい加減、俺・・・・・もう、出ないよ・・・・・」
裸の胸へと顔を摺り寄せ擦れた声で呟く浅葱に慎二は笑みを浮かべたまま同意するかの様にただ頷く。
「慎二?」
「・・・・・俺も、無理そう。夜は分かんないけど・・・・・」
「・・・・・・・絶倫?」
「知らないよ。・・・・・浅葱だって凄かったし・・・・・」
呟き行為の最中を思い出しにやにやと笑みを浮かべる慎二に浅葱はただ顔を赤く染めると俯いた。
「・・・・・否定しないのか?」
「もう! とても最高でした!!」
やけの様に叫び浅葱離れようとするから慎二は慌てて腕を掴むと抱き寄せる。 腕の中、暴れるのを抑えこんだ慎二に諦めたのか落ち着いてくれた浅葱を更に深く抱き込んだ慎二は思い出した様にぽつり、と問いかける。
「ねぇ、俺達、恋人同士になれた?」
「・・・・・セフレじゃなくて?」
「あさぎ〜!!」
「・・・・・・冗談だよ、俺は慎二ので、慎二は俺のでしょ?」
「ああ、不満?」
「まさか、最高に嬉しいよ、本当だって、でも、俺は浮気は許さないから。」
「・・・・・俺もだよ。」
腕の中、良く知っている笑みを浮かべ告げる浅葱を慎二は更に深く抱きしめるとそっと耳元へと囁いた。 腕を回して抱きついてくる浅葱に慎二はそっと顔を近づけると触れるだけのキスをした。
ずっと、雑音の様に絶えず耳の奥で響いていた、止まない雨の音がやっと鳴り止み、心の奥に晴れ間が見えてくるのを感じたまま慎二は浅葱へとずっと触れ合うだけのキスをしていた。
これで慎二君編がエンドです。最後の文を〆の言葉に使いたくて・・・・・けれど長かった; 20080203
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