「・・・祐樹・・・何、して・・・」
「見てわからない?・・・ナニする気だけど。アキをオレに縛りつけるにはこれしかないから、ね。」
擦れた声でおそるおそるやっと問いかけるアキに祐樹は笑みを向けると淡々と答える。 そうしながらもアキのズボンを開き下着も一気に脱ぎ落とす。
両手を縛られ過半身を剥かれアキはそれでも逃げ出そうと体を動かそうとしてみたけれどしっかり体重をかけた祐樹は抵抗すら許さず剥き出しの下肢の一部をぎゅっと握り締める。 びくり、と跳ねる体を抑えた祐樹は握り締めたからなのか、恐怖からなのか、何の反応も示さない、まだ、柔らかいそれを扱きだしながら前乗りに屈んでアキへと顔を近づける。
「・・・・っ、祐樹!」
「アキがおとなしく受け入れたら酷いことはしないよ。」
声を上げるアキに祐樹は笑みを浮かべると唇へと触れるだけのキスをしてくる。 柔らかい唇を押し付けられたアキはぎゅっ、と唇を噛み締めた。 それだけがアキの今できるただ一つの抵抗だった。
「・・・・・・っ!」
声を出すのも辛い激痛がアキを襲う。 めりめり、とまるで皮膚を突き破るかの様に押し入ってくる祐樹にアキは自由にならない手がもどかしくて溜まらなかった。それでも逃げようとするアキに祐樹は肩を掴んでくる。
そのまま上へと逃げ出そうとする体を押さえ祐樹は躊躇うことなく残りを一気に突き入れてくる。
「・・・・・・・・・・・っく・・!」
更なる激痛がありえない場所でしてアキはやっと微かな吐息を漏らした。
「・・・ごめん、痛いよね・・・でも、オレはこう、なりたかった・・・」
中に押し入れたものを動かさない様に黙っていた祐樹が少しだけ体を動かす、それだけで、中が蠢きアキはびくり、と体を揺らし、眉を顰める。
「・・・・わかってるなら、抜け、よ・・・」
「・・・だめ。アキをものにしたいって・・・言ってるじゃん・・・」
だから、何なのか理由もわからないアキに祐樹は断りもなくゆっくり、と動きだした。
「・・・ゆう、き・・・」
中で擦れるたびに質量が増していくのが分かり、痛さも倍増でアキは唇を噛み締める。 動かされる度に中の肉が引き攣るその感覚に眉を顰め更に唇を噛み、不自由な両手を握り締めるアキに祐樹は顔を近づけるとキスをしてくる。
さっきの軽いキスと違い噛み締めている唇を舌でこじ開けると、貪るような深いキスをされる。 アキはまるで喰われてるみたいだと、思い、まさに今喰われてる真っ最中な事に気づき内心苦笑を漏らす。
こんなに痛いのに笑える余裕を持つ自分にアキはもう呆れるしかなかった。
ゆっくり、と腰を動かしながら祐樹はアキの反応すら無い前へと手を伸ばし優しく扱き出した。
「・・・・んっ・・・」
舌を絡めてキスをしているからなのか、アキの声は口の中で消され微かな吐息を漏らす。 祐樹の手の中で少しずつ頭を持ち上げてくる自身に突き動かされる様に体も熱を持ってきてアキは息苦しくて祐樹から頭を振り唇を離す。 絡んでいた舌の唾液が糸を引き口の端から零れ落ちアキは祐樹から目を逸らした。
「アキ、アキ・・・好きだよ・・・・」
目を逸らしたアキの耳元へと少しづつ速度を上げ腰を振り出し入れしながら祐樹は呟いてくる。
最初は中の肉まで持っていかれそうな痛みもあったそれが、アキの先走りが零れたからなのか祐樹の先走りが中から潤わせたのか、もう痛みはほとんど無くただ熱い異物が中を掻きまわすそれに変わり、くちゅくちゅ、と動かされる度に水音まで響いてくる。
「・・・っあ、んっ・・・あっん・・」
「・・・・・・っく。」
聞きたくも無い自分の鼻にかかる声に祐樹の擦れた吐息が混じり、肌の擦れる音と混ざる水音に耳を塞ぎたくて溜まらなかった。
ダイレクトに伝わる温もりが今現実に起こってる事だと何度もアキに実感させる。 そうして体の奥に吐き出された溢れる程の精液に触発されアキ自身も白濁を祐樹の手のひらの中に吐き出していた。 何度目なのか分からないキスをされながらアキは祐樹の近すぎる顔をぼんやりと眺めていた。 その後、ベッドまで連れていかれ拘束された腕は外されたけれど、抵抗する気力すらないまま何度も突き入れられ何度目の放出かわからない程奥に出された精液にアキの意識は薄れていった。 最後の記憶はギシギシと軋むベッドの音だった。
遠くから聞こえる水音にアキはぼんやり、と目を開いた。
「・・・・・・・っ!!」
起き上がろうとして腰に走る激痛にベッドへと倒れこみ昨夜の出来事をいきなり思い出したアキは呻き声を上げたまま枕へと顔を埋める。 どんな顔をすればいいのか分からないまま今度は腰に気を使いながらゆっくり、とアキは起き上がる。 水音が止まりバタバタと物音の後、がちゃりとドアの開く音がする。 聞こえてくる足音がだんだん近くなりアキはソファーの上からまだ濡れたままの髪からぽたぽたと雫を落としながら近づいて来る祐樹を見上げる。
「・・・おはよう、アキ。・・・」
「朝から他人の家の風呂使うなんて優雅だな、祐樹。・・・何か、オレに言う事は?」
「・・・最高の夜をありがとう?」
「・・・あのなーー!お前、何、考えて・・・・っ!!」
不思議そうに頭を傾げ呟く祐樹にアキは大声を出し文句を言おうとして、腰に響く痛みに眉を顰め、苦痛の声を漏らす。
「・・・アキを放さない為ならオレは何でもするよ。・・・だから・・・」
呻くアキに近寄り腰を優しくさすってやりながら祐樹は謝らない、と言外に告げてくる。 その言葉に祐樹から痛む腰を庇いながら離れようとするアキを引き寄せると、抵抗をものともせずに腕の中へと抱きこんできた。
「・・・ふざけるな、よ。・・・何だよ、それ・・・放せよ」
「嫌だ!・・・オレは放さないって言ってる。」
「・・・その為なら友人も犯すのかよ!・・・あれは強姦だろ!何やってもいいのかよ!」
腰に響くからあまり大声の出せないアキはそれでも勝手な祐樹に文句を並べる。 少し困った顔をしてみたけれど、祐樹はアキを腕の中から放そうとはせずに顔を押し付けてくる。
「離れろよ」
「嫌!・・・流されてよ、いつもみたいに、なら友達で・・・でも良いから。アキのいない生活はオレには考えられないよ。」
胸元に押し付けた顔を上げようともしないで呟く祐樹にアキは唇を噛み締める。 何も言わないアキにそのまま祐樹は言い続ける。
「・・・アキが好きなんだ・・・オレだけのものにしたいほど・・・」
「そんなの、オレは知らない・・・」
「友達でも良いと思ってたのにアキが友達も止めるって言うから・・・」
「・・・ふっ、ざけるなよ・・・好きなやつの家で他のやつ抱きますか?・・・お前の言葉も態度も信じられるかよ。」
祐樹の話をふるふると頭を振り否定すると、再度祐樹の腕から逃れようともがきだす。 そんなアキに顔を上げた祐樹はしっかりと抱きしめなおしてくる。
「・・・・祐樹!!」
「好きなんだよ、アキがいれば他は何もいらない!・・・信じてよ!」
「・・・わかんないよ。他にもいるじゃん、何で、オレなの?」
「アキだけがオレを見てくれたから・・・オレ、下心なしに優しくされたの初めてだったから・・・だから、アキだけがオレを見てくれたから・・・」
「・・・それは・・・」
抱きしめたまま放そうとしない祐樹にアキは何も言えずに黙る。
「オレの事知らないからでも、オレは嬉しかったから。だから、最初は友達でも良いって思ってた。アキの傍にいれるならそれだけでも満足だった。」
顔を上げようとするアキを胸に押し付け祐樹はアキをますます強く抱きしめてくる。
「・・・なのに、友達じゃ我慢できなかった。オレがアキだけを見てる様にアキにもオレだけを見て欲しかった。」
無言のアキの顔を上げると祐樹は顔を近づけてくる。
「・・・祐樹?」
「アキの体だけでも良かったんだ。・・・アキが欲しくてオレおかしくなりそうだったのに、友達止めるなんて言うから、オレの理性ぼろぼろじゃん。」
泣きそうな顔で、祐樹は拒むアキの唇を強引に奪う。 貪るように喰らいついてきた祐樹に泣きたいのはこっちじゃん、と内心思いながらも流されないとあれほど考えた決意が揺らぎそうでアキは中に入りこんできた舌へとせめてもの意趣返しの為に噛み付く。
「・・・アキ?」
「オレは今日お前のせいで、腰痛いし、だるいし、変な場所は痛むし・・・だから、責任取って一日オレの手足になってもらうから。・・・考える時間が欲しいから・・・」
「アキ」
「オレにも考える時間をくれよ。・・・いきなりでわけわかんない。」
戸惑うアキの言葉に祐樹は笑みを浮かべアキを抱きしめなおす。 好きだよ、耳元に囁く祐樹にアキはただ頷く。 手を離してしまえばきっと楽になるはずなのにバカな自分にアキはそっと溜息を漏らす。 それでも離してしまう事の出来ない自分がいる事をアキは認めなくてはいけなかった。 心のどこかで何にも執着しない祐樹の唯一執着している人である事を嬉しく思ったアキがいた事をアキはただ祐樹の背に腕を回す事で答えていた。
「・・・オレはだるくてしんどいって言わなかったか?」
「聞いてたよ・・・だから、慣れる為にもアキの体をオレにメロメロにしなくちゃ。」
戸惑うアキをソファーに押し倒す祐樹はにっこりと笑みを返し言うとアキの体へと手を伸ばす。
「だから・・・オレは考える時間が欲しいって・・・」
「あげるよ。ゆっくり、考えてよ。アキがオレの事だけ考えてくれてる間にアキの体をオレに馴染ませるから。」
首筋へとキスを繰り返しながら服の上から体を撫でる祐樹にアキは溜息を漏らした。 これからだってこの身勝手さは変わる事が無いだろうと分かっているのに祐樹の髪を引っ張りアキは無理矢理上げる。
「アキ・・・痛いんだけど・・・」
「約束してよ、オレ以外には二度と触れないって・・・じゃないと、オレは祐樹との縁を切るから・・・」
「・・・触れないよ、アキを抱けるなら他はいらない。もともとアキの代わりだから本物を抱いたら他には興味ないし。」
さらりと暴言を吐くあたりが身勝手な男なのだとアキは思うけれど、祐樹へと腕を伸ばす。 首へと回した腕に嬉しそうな顔でキスしてくる祐樹をアキは目を閉じて受け入れた。
「・・んっ・・ゆう、き・・っ・・・」
「好きだよ、アキ・・・ゆっくり、挿れるからね・・」
頭を抑えるアキに顔を上げると祐樹は頬にキスをすると散々指と口で解した秘孔へとゆっくり、と熱い肉をあてがい慎重に沈めてくる。
「・・・っあ・・・あん・・・」
包み込むような内壁の動きにアキはたった一日ですっかり変えられた体に羞恥を覚え顔を赤くするけれど押し入る異物を飲み込む様受け入れるそれに祐樹は嬉しそうに顔へのキスを繰り返してくる。
「・・・全部、入ったよ」
「・・・言うな・・・って・・・んんっ・・」
言葉を出され響く振動に眉を顰めるアキに祐樹は奥まで差し込んだモノをゆっくり、と動かしてくる。 ぐちゅぐちゅ、と動く度に漏れる水音が最初は気になりはしたけれど奥を掻き回され突き上げられる度に熱くなる体の方に気を取られそれどころじゃ無くなっていた。 体の奥に広がった熱い精液を受け止めたアキの意識は白く霞んでいった。
夜の闇が覆う道をアキはひたすら家へと歩いていた。 あれから祐樹はアキに前よりべったり、で夜は結構好き勝手されている。 まだ「好き」だと返してはいないけれど祐樹は結構満足らしくて、アキは言葉を探している様に戸惑っている態度を未だに崩せないでいる。 いつ言おうと考えてる内にタイミングを逃してしまったみたいで結構悔しいのだけれどでもまだいいか、とも思う。
ミシミシと相変わらず音を立て軋む階段を上り、部屋を開けるとアキの鼻がぴくり、と動いた。
「お帰り〜アキ」
抱擁とキスを同時にしてくる祐樹にアキは薄い笑みを浮かべる。
「暑苦しいから、離れて・・・今日は何?」
「・・・うん。カレーライス!・・・今日はルーからチャレンジしてみました。」
「ルーからって・・・食べれるの?」
「失礼な!食べれるよ、結構美味しかったよ、味見してみました。」
「そう。」
アキから離れたけど祐樹は名残惜しそうに後からついてくる。 スーツを脱ぐアキをじっと見るからアキは顔を上げる。
「何?」
「・・・大好きだよ、アキ」
笑みを浮かべる祐樹につられて笑みを返したアキは私服へと着替えると立ったままの祐樹へと近寄る。
「オレも・・・祐樹の事、好きだよ・・・」
「え?・・・あ・・・本当!・・・アキーーっ!!」
「・・ちょっと、・・・祐樹!!」
アキの告白に一瞬固まった祐樹はアキに抱きつくと狭い部屋の中アキを抱き上げる。
「オレ、アキの事絶対に放さないから・・・ずっと、オレといてよ!」
戸惑うアキを降ろすと祐樹はアキをぎゅっと抱きしめた。
アキは祐樹の背へと手を回すと彼の胸へと頭を押し付けると笑みを浮かべた。
突っ込みどころ満載ですが終わりです。感想とか是非下さると嬉しいです。20070507
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