再生 後編

〜孤独のカケラ2〜

抱きしめられた腕の中で迷いながらも豊はぽつり、口を開く。
「離れたらもっと不安にならない?」
「・・・・・連絡、毎日して、俺もするから。毎日俺を好きだって言って。」
抱きしめたまま答える優斗に豊は少しだけ顔を上げる。
「優斗は?」
「俺も言うよ。毎日豊を愛してるって。・・・・・だから、離れないでよ、距離だけ離れても心は俺の豊でいてよ。」
「・・・・・それで、心が離れたら?」
「取り合えず会いに行く。・・・・・会っても無理ならそれまでなんだとその時思うから、別れないでよ。」
困った様に笑みを浮かべるその顔が泣きそうで優斗は頭を撫でると豊の額へとキスをする。
ただ抱きしめられたままだったのに背へと腕をそろそろと回してきたから優斗は笑みを浮かべると豊の顔を上げると唇へとそっと唇を触れ合わせる。
ちゅっと音がするほど軽いキスを何度もする優斗に答え始めた豊の背を撫でながらそっと床へと押し倒すと焦った様に見上げる豊へと優斗は笑みを向ける。
その間にも軽かったキスは少しづつ湿ったキスへと変わっていった。
唇から首筋、胸へと唇を動かしてくる優斗に息を乱したまま豊は呟いてくる。
「・・・・ゆっ、と・・・移動、は?」
「無理だよ、俺が止まらない・・・・・途中で止めれる?」
腰を押し付け、何度もキスをしながら答える優斗に豊は漏れそうな声を抑える為に唇を噛み締め頭を振る。
だから優斗は体を撫でる手を胸元へと滑る舌を止める事なく行為を再開させる。
深く奥を弄りながらも片方の手で乳首を摘み舌を這わせる優斗に豊はびくり、と身を奮わせ潤んだ瞳を何度も瞬かせる。
「どっち、好き?」
「・・・・・っあ、ゆう、・・・・・っく・・・」
言いながらぷくり、と膨らんだ突起に歯を立てる優斗に豊は喘ぎ声を零しながら頭を振ると口元へと手を当てる。
「塞ぐなよ、聞かせて・・・・・聞きたい。」
「・・・・・んっ、だ・・・めっ・・・」
塞いでいた手を取るとキスしながら言ってくる優斗に豊はただキスを受けながらも否定の言葉を零す。
いつもの様にベッドじゃないし、玄関に近い床の上だからなのか、いつにも増して声を出すのを拒む豊に優斗はキスを繰り返し送りながらも下へと伸ばした手を動かすのだけは止めなかった。


*****


床に背を押し付けたままじゃ、かかる負担は更にきつくなりそうだったから豊の身を起こすと自分の上に座らせた優斗は下から奥へと入りこんでいく。
「・・・・・・んあっ、っん・・・」
自分の体重で更に進むこの体位に唇を噛み締める豊をキスで宥めながらも優斗は一気に奥まで突き上げる。
ぐちゅっと中に入り込んだ自身の先から少しだけ零れる先走りにぴくり、と体を揺らした豊の腰を抑えると優斗は首筋へと顔を押し付け息を零した。
「・・・・ん、動くよ・・・」
絡みついてくる奥の肉の感触を感じながらも呟く優斗に豊はただこくり、と頷く。
いつもよりも深く入り込んでる優斗を感じて豊は唇を噛み締めるから顔を寄せると優斗はキスをする。
すぐに舌を絡みつかせてくる豊に答えながらも腰を少しだけ浮かし動き出した。
深く突き入れた場所で緩やかに動き出した優斗の首筋へと腕を回してきた豊はその動きに合わせながら自らも動き出してくれるから、スムーズな行為に絡ませたままの舌をそのまま深く唇を貪る優斗に豊は少しだけ息を漏らすけれど、すぐに受け入れてくれる。
くちゅくちゅと下からも上からも聞こえるそれと微かに漏れる互いの呼吸だけが部屋の中に溢れだす。

「・・・・・豊、好きだよ・・・愛してる・・・」
キスの合間に腰を動かしながらも耳元へと囁く優斗に豊は生理的に溢れた涙で潤んだ瞳を細めると飲み込み切れない唾液とキスで赤く濡れた唇へと微かに笑みを浮かべる。
「・・・・・僕も、好き・・」
ちゅっとキスをすると小さな声で告げる豊に優斗は体の熱が一度は軽く上がる気がした。
「ーーーーっ、だめ・・・俺・・・・・」
びくんと内側で反応する感覚に眉を歪める豊を抱きしめ直すと優斗は呟く。
そのまま床へと押し倒し足を抱える優斗に豊は慌てたように身じろいだ。
「優斗!」
「・・・・・ごめん、無理!!」
そのまま腰を激しく動かしだした優斗の腕へと必死に手を伸ばした豊はされるがまま受け入れる。
汗を浮かべ、余裕すら失くし激しく突き上げてくる愛しい男に目を細め笑みを浮かべると豊は奥へと感じる熱い塊をもっと深く受け入れる為に息を吐く。
「・・・豊?」
「・・・・・んっ、止めないで・・・・いい、から・・・・・もっと・・・」
「・・・・・うん。」
中へと導く内部の動きに躊躇い顔を上げる優斗に笑みを浮かべ手を伸ばした豊が呟く。
切れ切れの息の下、微かに笑みを浮かべてくる豊の腰の下へと手を差し入れ抱きしめ直すと優斗は深く奥まで貫き、もう一度動き出した。

さっきより深く入り込み、奥で回され豊は腕を掴む手に力を込める。
眉を顰め、しっかりと唇を噛み締め、それでも受け入れてくれる豊の顔をちらり、と目に写した優斗は微かに笑みを零し唇を下で舐める。
「ーーっ!・・・ゆっ・・・っんん・・・」
「平気だから、声・・・聞かせて。・・・・・豊のイク時の声、聞きたいよ。」
キスを繰り返しながら呟く優斗にそれでも唇を噛み締め頭を振ると豊はぎゅっと抱きついてくる。
「・・・・・豊っ。」
「・・・っふ・・・だ・・・め・・・・・」
舌で唇をこじ開け様とする優斗にそれでも頑なに頭を振る豊が少しだけ身震いをする。
奥へと入り込んだ優斗のソレが豊の一番敏感な場所に触れたらしくて、溜息を零す優斗に豊は中をぎゅっと萎ませる。
「・・・・・っ、だめ、だって・・・」
「・・・イって・・・・ねぇ・・・・・イって・・」
切れ切れに囁くその声に優斗はぎゅっと豊を抱きしめる。
眉を歪め激しくもう一度突きあげだした優斗に必死に豊はしがみつく。
内部で弾ける熱い奔流を感じるのと互いの腹の間で小さく自己主張していた豊のモノの吐き出したねっとり、とした白濁はほぼ同時だった。
力を喪っていくモノをまだ内部へと収めたまま優斗は豊へとキスをねだる。
軽く触れ合うだけのキスの後、顔を見合わせた二人は自然な笑みを浮かべた。


*****


「行ってらっしゃい」
憮然とした顔で立ち、ぼそり、と呟く優斗に豊は笑みを浮かべる。
「すぐに、は無理かもだけど、ちゃんと帰ってくるから、・・・・・待ってて。」
「メールも忘れるなよ。本当に毎日だから。電話もいつでもいいからかけてよ。ルス電なら伝言にちゃんと入れろよ。」
まるで母親の様に何度も言われた言葉を今日も言ってくるから豊は苦笑したまま頷く。
「・・・・・分かったから。」
「本当に?・・・・・一日でも忘れたら俺まじで行く事考えるから。」
「・・・・・嘘、冗談だよね?」
意外な言葉に目を丸くする豊に優斗は笑みを向ける。
「会いに来て欲しいなら。サボれよ。・・・・・何を放り出しても会いに行くから。」
「・・・・・しないよ。」
顔を赤く染め俯く豊の肩を引き寄せると優斗は腰へと手を回し抱きしめてくる。
「忘れるなよ、ここに俺がいること。」
こくり、と頷く豊をぎゅっと抱きしめる優斗の腕の中で豊はますます顔を赤く染める。
「見られてる、よ。」
「いいんだよ。当分会えない間の補給なんだから。勝手に見させとけ。」
あれから今朝まで放そうとしなかった抱きしめた体の温もりを腕の中に焼き付けたくて優斗は更にきつく抱きしめる。
離れても、大丈夫だと確信できる証はこの温もりを忘れない事だと思って、暫く会えない体を抱きしめたまま放せなかった。
「・・・・・優斗。」
躊躇う様に呟く豊にそっと腕の力を緩める優斗に豊は笑みを向ける。
「帰ってくるから、優斗がいる場所に。」
「うん。」
頷く優斗に笑みを向けたまま豊は腕の中から離れると荷物へと手を伸ばした。
そして搭乗口へと向けた目をもう一度優斗へと向けた豊は笑みを浮かべると背を向け歩き出した。

優斗の小さな世界の中心にはいつだって愛しい恋人がいる。
恋人のいない世界は優斗には考えられないし想像もつかない。
傍にいなくても、いつだって感じられる、思い出せるその温もりを抱きしめて優斗は大きく広がる空を見上げる。
まだ繋がっていられる愛しい恋人を思い浮かべ優斗は笑みを浮かべる。

エロは温いですがこれで終わりです。
ラブな感じになってくれてる事を祈りながらまた次の作品で。  20070907

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