Holiday

「・・・んっ・・・あっ・・・あんっ・・」
分厚いカーテンの引かれた部屋の中聞こえるのは少し擦れたでも甘い吐息に合わさるかの様に軋むベッドのスプリングの音と肌の擦れ合う少し湿った音。
いつから始まったのかは分かるけれどいつ終わるのか分からないその行為に尚人は始まった時をぼんやり、と揺らされながら思いだしていた。






早く終わる予定のはずがかなり延びて帰宅した昨夜。
「おかえり〜」
航の全開の笑顔と共に熱烈なキスが玄関先で降ってきて尚人はいつもよりも大げさなお迎えにされるがままになっていた。
でもそのキスが段々と下がっていくから尚人は驚いて航の髪を思わず引っ張る。
「・・ちょっ・・!・・・どこで、盛る!!」
「・・・いてーよ、髪・・何?」
「何、じゃなくて・・・」
頬を真っ赤に染め抗議する尚人に淡々と返す航だから逆に尚人の方が戸惑う。
何も言えなくなった尚人に顔を上げると航は頬にちゅっ、とキスをしてくる。
「・・・航?」
「依頼はすぐに終わるって言ってなかったか?・・・オレは飢えてるんだよ、だから付き合って。」
耳元へと囁きながらもキスを止めない航に尚人は「せめて、ベッドで」と一言呟いた。
「無理!ごめん」
「・・・わたっ・・・んっ・・やっ・・」
謝りつつも下肢へと伸ばしてきた航の手に尚人は思わず喘ぎ声を漏らす。
そこからはなし崩しだった。
フローリングの上で服を剥ぎ取られキスを体中にされ尚人は喘ぐことしか出来なかった。
ベッドに移った時はキスのしすぎで少し唇が痛いし堅いフローリングだったから体も痛かったのに航は止めようとはしなかった。
こんな時体力・・・精力の違いを見せ付けられる気がしないでもない。
初めて繋がった時は泣くというより言葉もでない激痛だったのが今はすんなり受けいれられる体に作り変えられ温もりも体に入るその熱さえも愛しく感じるなんて人って不思議な生き物だと思う。






「・・と。・・・尚人って、」
「・・・・っ何?」
「おまえな〜何ぼけてるんだよ、集中しろよ・・・・。」
腰を揺すりあげ言う航に尚人は無言で頷く。
「本当に?」
「・・・やぁっ・・・奥、しない・・で・・」
深く突き入れる航の腕をつかみ尚人は切れ切れに言う。
「集中する?」
「・・・する、から・・・やっ・・・だめっ、いきそう・・・」
問いかけにこくこく頷き尚人は顔を顰める。
「・・・まだ、だーめ。」
「あんっ・・・ああっ・・・」
浅い場所迄戻しゆっくりと抜き差ししながらちゅっ、ちゅっと音を出しキスする航に尚人は甘い吐息を漏らしだした。


くちゅ、くちゅと耳に聞こえる水音が卑猥で耳を塞ぎたくなるのに反して体はどんどん熱くなる。
何度も吐き出された液でぐちゃぐちゃなのに尚人の内壁は航を緩やかに締め付ける。
本当は異物を押し出そうとしているのかもしれないけれど、その内壁へと押し進み回すようにしながら航は尚人へのキスも止めない。
ゆっくりと抜き差しのスピードを早めていく航に尚人も無意識に腰を揺らし何も考えられずに快感だけを追う。
「・・・もう・・」
「・・良い?」
「・・・奥、奥にして・・・」
「さっき、やだって言わなかった?」
「・・・航、お願い・・・」
突き上げる場所を少しずつ奥にしながら問いかてくる航に尚人は緩慢な動作に耐えられないのか瞳を潤ませ訴える。
苦笑すると航は一気に奥まで深く突き入れてくる。
「・・・あっ・・良い・・」
ぽつり、と呟く声に笑みを浮かべると何度も腰を打ち付けてくる航の首へと尚人は腕を回しキスをねだる為顔を近づける。
舌を絡め合う深い口付けを与えられ突き上げも深くなる。
「・・・航・・・・っあ・・」
「・・・・・くっ・・」
最奥に熱い情熱の飛沫を浴び尚人は自身も互いの体の真ん中で吐精したのを感じた。
少し乱れた息使いを耳元で感じ、伸しかかってくる愛しい温もりを感じながら尚人は眠りへと誘われていった。






「・・・・腰がいたい、立てない!起きれない!」
ぶつぶつとベッドの上、布団に包まれたまま抗議する尚人に航は「やりすぎました」と謝った。
目が覚めて体の節々の痛みと例の場所の痛みに尚人は隣りですやすやと安眠していた航を叩き起こした。
かいがいしく世話をしだした航に尚人は一日ベッドの中にいた。

「・・・で、なんで急に盛ったの?」
「尚人から香水の匂いがしたから・・・何かむらむらと、ね。」

その日から長期の仕事には航も連れて行こうと堅く誓った尚人だった。
                               END

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